働き方

生活保護ケースワーカーの仕事とは?【元公務員人事が解説】

 

こんにちは、元公務員人事のしょうです。

 

新採は生活保護ケースワーカーに配属されるって本当?
大変そうな仕事なので正直不安です…

 

今回はこういった人たちのために、市役所に入庁後、最初の配属で生活保護ケースワーカーを経験した僕が解説していきます。

 

それでは、見ていきましょう!

(僕のプロフィールはこちら

 

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生活保護ケースワーカー(CW)とは

まずは生活保護制度についてです。

数年前にドラマ化されたり、不正受給問題がニュースやワイドショーで取り上げられたりして、なんとなく知ってるけど詳しくは分からない、という人が多いのではないでしょうか。

 

引用

生活保護は、憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という理念に基づき最低限度の生活を保障する制度であり、生活保護を受けることは国民の権利です。働き手の病気や怪我、そのほかさまざまな事情で暮らしに困っている方に、国が定める最低限度の生活を保障するとともに、自分の力で生活できるように援助することを目的としています。(中略)世帯全員の収入(給料、仕送り、年金など)と国が定める基準によって算出された最低生活費を比較して、収入が最低生活費を下回る場合に、その不足分が支給されます。(生活保護制度とはー 東京都福祉保健局)

 

要するに、病気や失業などで収入を得ることが難しい人に対して、国が不足分を「生活保護費」としてお金を支給して補うことで、最低限度の生活を保障しますよ、という制度です。

 

次に、ケースワーカーについて説明します。

まずケースワークとは、困難な課題、問題をもった対象者が主体的に生活できるように支援、援助していく個人や家族といった個別に対するソーシャルワークのこと(ウィキペディアより)で、その支援、援助を行う人のことをケースワーカーと呼びます。

役所ではケースワーカーを略してCWと呼ぶことから、ここでもCWと表記します。

 

つまりは、収入を得ることが難しい人に対して、生活保護制度により生活を支援、援助する人を「生活保護CW」と呼ぶのです。

 

新卒が生活保護ケースワーカーに配置されやすいのは本当?

結論から言うと、本当です。

その理由は、多くの自治体が「現場主義」を掲げているからです。

 

人事としては、新卒で入庁した人に、数年後には一人前に成長して、本庁の中枢部署で役所の制度構築や難しい調整に携わってほしいと考えています。

しかし、中枢で業務を行うためには、現場のことが分かっていないと実のある仕事ができないため、最初に現場での仕事を経験してもらおう、というワケです。

 

そこで最適な仕事なのが生活保護CWなんですよ。

地域の中にガッツリ入っていくし、市民との窓口応対もあるし、ヤヤコシイ人との折衝もあるし…

 

そのうえ、周りの職員が同じ仕事をしていて聞きやすい環境もあるので、そう思うと初めての配属先にはもってこいでしょ?

 

生活保護ケースワーカーの仕事内容

それでは、実際に生活保護CWがどんな仕事をしているのか見てみましょう。

 

業務内容

各CWは自分の担当地域を持ち、そこで生活保護を受給する世帯(ケースと言います)を80世帯ほど担当します。

 

業務内容は大まかには以下のとおり。

・ケースの生活状況を把握するため、定期的に家庭訪問して記録する

・ケースの月ごとの収入を確認し、生活保護費を計算する

・担当地域で新たな生活保護の申請があれば、調査して保護の要否を判断する

 

他にも、生活保護が「本人が努力してもなお足りない収入を補う」という制度なので、その人が本当に働けないのか、年金をもらえないのか、といったことや、役所に内緒で働いて収入を得ていないか、といったことを調査するのも仕事です。

もちろん、その人が体を悪くしたときに医療機関に適切に繋いだり、福祉の専門家と連携して困りごとに対応するのも、重要な任務ですね。

  

1ヶ月のスケジュール

生活保護CWの仕事は1か月で1つのサイクルになっています。

月初 家庭訪問など

中旬 保護費の算定

下旬 家庭訪問など

毎月の中旬に保護費の計算の締め切りがあるため、その時期は主に執務室で計算の事務仕事をして、それ以外の日に家庭訪問などの業務を入れていくイメージですね。

 

ポイント

事務の締め切りは一定あるものの、それ以外の家庭訪問のスケジュールなどは各CWの裁量に委ねられているため、スケジューリングの能力が身につきます。

 

1日のスケジュール

次は、家庭訪問がある1日のスケジュール例を見てみましょう。

 8:30 出勤、家庭訪問の準備

 9:30 家庭訪問へ(2件回る)

11:00 帰庁、訪問記録作成

12:00 お昼休憩

13:00 休憩終わり、訪問の準備

13:30 家庭訪問へ(3件回る)

15:30 帰庁、訪問記録作成

16:30 その他事務作業

17:15 チャイムとともに片付け

17:30 退庁

僕はなんとなくこんなパターンが多かった気がします。

 

もちろん外勤がない日もあれば、外勤だけで事務仕事がほとんどない日もあります。

ポイントは、いかに効率よく家庭訪問できるか。でも訪問を詰め込みすぎると聞くことを忘れたりするのでほどほどに!笑

 

生活保護ケースワーカーになるメリット

現場での経験が積める」ということや、「スケジュールなどの仕事の基本が身につく」といったことは先に述べたとおりですが、他にも僕が身をもって感じたメリットについて過去にツイートしています。

https://mobile.twitter.com/Sho_jinji/status/1363347845756018690

 

仕事の半分ぐらいは人との会話

僕はお喋りが好きなので、CWの仕事が好きなんだと思います。

もちろん仕事なので堅いことも言いますし、時には厳しく注意することもありますが、世間話をすることも多かったですね。

特に年配の方の戦後の日本の話とか、事業に挑戦して失敗した話など、お金を払ってでも聞きたい話がたくさん聞けました。

 

社会保障制度に詳しくなれる

これが意外に大きいんですよね。

というのも、生活保護の業務は年金、医療、介護、その他社会保障などなど、関わるジャンルが幅広いので、その都度勉強して対応しなければなりません。

すると、これらは仕事だけじゃなくて自分自身の人生にも役に立つ知識なので、あとから「あの時勉強しておいて良かった~」と思うことが多々あります。

 

バイクで移動中は歌い放題だった

これは半分冗談ですが。笑

僕は担当地域が区役所から遠かったので、原付バイクが利用できました。

事務作業で疲れた時も、バイクに乗りながら大声で歌っているだけでストレスの発散になりましたね。

仕事中に何してんねん!という感じですが…

 

休みが取りやすくて同期と旅行に行けた

上で書いたようにスケジューリングが個人の裁量なので、計画的に休みが取りやすいのも特徴の1つ。

そして、同期の多くは生活保護CWだったため、皆で年休や夏休を合わせて取得し、長期の旅行に行ったりしました。

仕事が遅い同期だけ休みが取れず、せっかくの旅行に遅れて参加してきたのも今となっては良い思い出です。笑

 

定時帰りでおっさん達と野球観戦

これも一般的な意見ではないでしょうが…

区役所の窓口業務なので、ほとんど残業はありませんでした。

なので毎日18時からスポーツジムに通う人もいれば、仕事帰りに居酒屋に寄って帰る人もいました。

僕は同じ係に野球好きのおっさんが2人いたので、その人たちとよく居酒屋で野球観戦をしてました。(今でもお世話になっています)

 

生活保護ケースワーカーになるデメリット

僕にとっては楽しい仕事でしたし、多くの同期も楽しそうにしていましたが、中には1~2割ぐらいはしんどそうにしている人もいました。

・人と交流したり会話したりするのが苦痛な人

・他人の家に上がるのが嫌な潔癖症の人

こういった人にとっては、辛い仕事になるかと思います。

 

なんか怖い人に怒鳴られたりするイメージがあるんだけど…

ドラマの中でもこういうシーンがありましたね。

でも怖いなと感じる人は全体の1%ぐらいで、中には元暴力団といった人もいますが、そういった方は上司が同行してくれたり、窓口でも周りの人がすぐにフォローに入ってくれたりと、1人で怖い思いをすることはほとんどありませんでした

 

まとめ

今回は僕にとって思い入れの強い、生活保護CWのお仕事について紹介しました。

「どんな仕事も楽しんだもん勝ち」という思想を持つ僕が紹介するとこんな感じになりますが、他の方が紹介すると全然違う内容になるかもしれません。笑

 

少なくとも、一般的に思われてるイメージよりも僕は全然楽しくてやりがいのある仕事だと思っているので、少しでも皆さんのネガティブなイメージを払拭できればと思って書いてみました。

 

それでは、また。

 

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